植物

【初心者向け】キクの栽培に必要なもの解説|大菊3本立て

今回は3本立て大菊栽培に必要な資材についての解説です。
初めて菊の栽培にチャレンジしようという方向けの記事になります。

菊栽培について

菊は日本を代表する花です。

むかしは中学校技術科の授業で育てるということをしていたようですが,今ではほとんど行われていません。

花屋で見かける黄色や白のお仏壇用の切花が馴染み深いかもしれませんね。

人形に菊の服を着せたかのように栽培する,菊人形なんかを見たことあるという方もいるかもしれません。

菊はいろいろな種類があります。

今回紹介するのは,菊の中でも「大菊」と呼ばれるカテゴリの菊です。

この大菊は花屋などには出回ることは少なく,多くが品評会や鉢での展示用として育てられます。

菊は日本中で品評会が行われているほど日本の文化に根付いており,江戸時代ごろには菊まつりを見に行くことはポピュラーな娯楽だったようです。

現在,日本で一番大きい菊花展は大阪泉南で行われる「日本菊花全国大会」です。

かなり大規模な大会で,全国から菊が集まります。

数多くの方が,内閣総理大臣賞などの賞を目指して丹精込めて菊の栽培を行っています。

敷居が高いように感じる大菊栽培。
やってみると結構簡単です。
こんかいは入門編ということで一番簡単な育て方を解説していきます。

必要なものも全てホームセンターで揃うんですよ。

今回は必要な資材を詳しくご紹介します。

大菊とは

大菊とは,花の直径が18センチ以上の菊を言います。

大菊の中にも花びらの形によって,厚物,厚走り,管物,一文字,美濃菊,大掴みに分けられています。

今回調べてみて初めてこんなに種類があると知りました。

今回は手に入りやすい,厚物と管物に絞って紹介します。

厚物は,皇室の菊の御紋に代表されるオーソドックスな形の大菊です。

大きさのイメージとして,直径が大人の顔ほどの大きさになると思ってください。

厚物が花弁が平らなのに対して,管物は花弁がストロー状になっている品種です。

厚物と管物それぞれ育て方は同じですが,花弁の形が異なるだけで趣が大きくことなります。

それほど大きな花を咲かせる花を育てるってわくわくしませんか。

生育期間は4月から11月の約半年間。

花は10月下旬から11月下旬まで約1ヶ月間楽しむことができます。

今回は,1つの鉢から3輪の花を咲かせる「3本立て」と呼ばれる育成方法を紹介します。

他にも小さな鉢で小さく1輪咲きにしたてる「福助」などいくつか種類があります。

興味のある方は調べてみてね。

菊づくりに必要なもの

苗はホームセンターで購入します。

意外にも菊の苗は全国のホームセンターで入手可能です。

4月頃に店頭に並びます。

あまり数が出る商品ではないので,売り切れたら再入荷はないことが多いです。

時期になったら,ホームセンターを何度か見に行くと良いでしょう。

私はコロナ初年に時期を逃して5軒ホームセンターをハシゴするはめになりました。

時期さえおさえておけば入手が難しいということはないです。

選ぶコツととしては,茎が太く背が低い苗を選ぶと良いです。

また,国華園などの通販でも入手です。

ホームセンターは扱っている品種が限られますので,品種にこだわりたい方は通販で購入してください。

そのほかの入手方法

そのほかの方法として,前年の株から育てるという方法もあります。

これは初心者には関係のない方法なので,読み飛ばしてくださっても結構です。

菊は花が終わった後,茎を短く切って冬を越すことができます。

冬越しした鉢からは,春頃に芽がでてくるのでそれを切って土に挿して増やすんです。

これを「挿し芽」といい,こうして苗を育てます。

ちなみに,菊は一般的な鉢植えの花と違って前年度の鉢をそのまま育てても花は咲きません。

近くにベテランの菊職人がいる場合は,こうして作った苗を分けてもらう方法もありでしょう。

土は市販の園芸用培養土で構いません。

ホームセンターで25リットル程度の培養土を適宜購入してください。

最終的に1鉢に1.5袋(35リットル)ほど使用します。

菊は鉢上げといって,小さい鉢から徐々に大きな鉢に移していきますので最初から大量の培養土を用意してくてもかまいません。

適宜買い足していってください。

市販で菊用の土が売っていますが,初心者が家庭で楽しむ程度であれば必要ありません。

展覧会に出品したい方やワンランク上を目指す際に使うのが良いと思います。

菊づくり2年目以降は,前年の土から菊の根っこなどを除去して天日干しし,腐葉土などを足して土を再利用して使うと良いでしょう。

肥料

肥料は主に液体タイプと固形タイプの2種類あります。

今回は固形タイプのみ使います。

菊用の専用肥料が販売されていますがこれは使いません。

使うのはホームセンターで手に入りやすい肥料です。

野菜・草木・花用で売られている緩効性肥料(緩効性化成肥料)を使います。

これは,小指の爪ぐらいの大きさの粒状の化成肥料です。

徐々に溶けて効いていってくれるので使い勝手が良い肥料になります。

一般的な化成肥料は急に効きすぎて菊の生育に適しませんのでので買う際には必ず緩効性肥料を選んでください。

農薬

農薬は使わなくても花を咲かせることはできます。

ただし,菊はアブラムシがつきやすく見栄えが悪くなるので必要に応じて農薬を使ってください。

私は菊を育て始めて数年間は無農薬で育てました。

しかし,栽培する場所を変えてからアブラムシが大量発生するようになりそれからはオルトラン水和剤を使っています。

近くに緑が多くあり,アブラムシがよってきやすい環境だと使った方が良いでしょう。

野菜と違って花は食べるものではないので,農薬に拒否反応を示す必要もないかなと私は思います。

資材

菊づくりの資材として,次の7つを使います。
これは一番簡単な私流のやり方です。

大菊3本立て1鉢に必要な資材

鉢(3号&9号)

空き缶 (アルミ缶500ml3本)

支柱Lサイズ(3本)

ビニールタイ(適量)

インバインド(1個)

輪台(3個)

鉢皿(1枚)

鉢(3号&9号)
菊栽培ではプラスチック製の鉢を使うことが一般的です。
鉢の大きさは◯号という表記で販売されており,今回は3号と9号を使います。
数字に×3すると直径の長さです。
3号鉢は直径9センチ,9号鉢は直径27センチになります。

鉢を2つ使うのには理由があるんです。
菊は花が咲く秋までに”徐々”に根っこを張らせる必要があります。
最初から大きな鉢に植えてしまうと一気に根を張ってしまうんですね。
短期間で根っこが伸びてしまうと,根が詰まって一番栄養を吸ってほしい時期に元気のいい若い根っこがない状態になってしまうんです。


そのため,根っこの伸びしろを用意する必要があって鉢上げをします。
最初の3号鉢については形はどんなものでも構いません。
逆に,9号鉢は菊用の鉢を購入してください。
菊用の鉢は支柱を固定できるように設計されているんです。
これもホームセンターで販売されているので簡単に入ります。
9号菊鉢の使い方はあとから説明しますね。

空き缶 (アルミ缶500ml3本)
500mlのアルミ缶は鉢上げの回数を減らす裏技に使います。
9号鉢に鉢上げしたタイミングで,このアルミ缶を3本埋め込みます。
順次タイミングを見て,1本づつアルミ缶を抜いて土を足すことによって根を張るスペースをつくっていくんです。


500mlがなければ350mlでも構いません。


支柱Lサイズ(3本)

3本立てをつくるのに3本支柱が必要です。

野菜の支柱と違い,徐々に長さを変えることができる伸縮タイプの支柱を用意してください。

SMLサイズがありますが,初心者は菊の背が高くさせがちなので,Lサイズを購入しておけばOKです。


ビニールタイ(適量)

支柱と菊の茎を固定するためのヒモです。

ヒモと言っても針金にビニールをかぶせたものになります。
ねじるだけで固定ができるんです。

色は緑か黒を使うのが一般的ですね。


インバイド(1個)

インバイドとは,3本立ての茎を一定の間隔に保つための骨組みのようなものです。

金属製のハンガーのような見た目で,1鉢に1本使用します。


輪台(3個)

大菊の大きな花を支えるための針金でできた資材です。

終盤にしか登場しませんが,これがないと花が垂れてきてしまいます。

3本立てだと,輪台は3つ必要です。


鉢皿(1枚)

9号鉢の下に敷く鉢皿は,開花後展示する際に使用します。

まとめ

以上が大菊の3本立てに必要な資材になります。

菊の年間スケジュールと生育方法についてはこちらで解説しています。

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